アドリア海沿岸諸国の旅路(3) プリトヴィツェ(2019.10.21)

f:id:tnclog:20200624141035j:plain

秋の反照

Zagreb 0840 → Plitvice 1055

バス(AP Varaždin)

 

Plitvice観光

 

Plitvice 1645 → Zagreb 1900

バス(Croatia Bus)

 

ザグレブ

Hotel Meridijan16

クロアチアの3日目は,妻のたっての希望でプリトヴィツェ(Plitvice)国立公園を日帰りで訪れる.色々な本で紹介されている有名な景勝地で,ボスニア・ヘルツェゴヴィナとの国境にほど近い山間部に,数々の湖沼と瀑布が連なっている.首都ザグレブからはバスで2時間あまりの旅路.やはりどこか殺伐とした雰囲気の無機質なバスターミナルへと足を運び,8時40分発のバスの切符を購入.各便の運行会社は様々で,価格も少しずつ差があるようだ.

f:id:tnclog:20200624140831j:plain

朝のバスターミナル,この独特の雰囲気

天候は快晴.渋滞とはおよそ無縁と思われる高速道路を快調に飛ばした後,下道に入る.徐々に山へ分け入っていくのが分かり,やがて大きな橋で渓谷を渡ったかと思うと,間もなく公園の入口に到着となった.園内は広大なのだが,上流にあたる上湖群から滝を見て回りながら下流へと下っていくことにした.Poljanaという店でマス料理とビールを頂き,早めの昼食とする.今回の記事は新たな試みとして,文章は控えめに,写真帳のようにキャプションを主体としてまとめてみたいと思う.

f:id:tnclog:20200624140836j:plain
f:id:tnclog:20200624140842j:plain
名物のマスのグリルを食べた後,渡し舟で対岸へ向かう

f:id:tnclog:20200624140849j:plain

落葉,秋の気配
f:id:tnclog:20200624140856j:plain
f:id:tnclog:20200624140902j:plain
湖水が非常に澄んでいる.この色はプランクトンによるものだという

f:id:tnclog:20200624140908j:plain

湖に斃れる
f:id:tnclog:20200624140924j:plain
f:id:tnclog:20200624140932j:plain
遊歩道をぐいぐい登り,数々の瀑布を見物

f:id:tnclog:20200624140938j:plain

陰翳礼讃

上湖群はマイナーなためか観光客はあまりおらず,実にゆったりした雰囲気で散策できた.湖水のエメラルドグリーンは下湖群に比べると深いとのこと.透明度の高い湖水をのぞき込むと,無数の魚が群れをなして泳ぎ回っている.カモは湖の常連としてすっかり定着していると見え,湖畔での立ち姿や,悠然と湖面を滑る姿などによく出会った.こういった自然風景には洋の東西を問わず絶対的な美しさ,いわば「きれいなものはきれい」という正統性が自明のうちに備わっている.単純といえばそれまでなのだが,しかし雑然とした日常から解放され,清浄な環境に身を置き,心が洗われていく経験は至福と呼ぶほかない.

f:id:tnclog:20200624140945j:plain
f:id:tnclog:20200624140951j:plain
魚群を見たかと思いきや,カモは悠々と泳ぐ
f:id:tnclog:20200624140958j:plain
f:id:tnclog:20200624141006j:plain
道を下るにつれ,湖はさらに大きくなる
f:id:tnclog:20200624141012j:plain
f:id:tnclog:20200624141020j:plain
藻類の不思議な立体感や,昼下がりのコースティクスなど

ふたたび渡し舟でP2からP3地点へ下り下湖群に入ると,遊歩道の人通りはずいぶんと多くなった.下流から登ってくる観光客が相当な数にのぼると見え,落ち着いた風情は何だか失われつつある.ヴェリキ(Veliki)滝という園内最大落差の瀑布にも足を延ばしたのだが,滝壺近くはテーマパークのような人だかりで,何とか他人をカットしつつ三脚での記念写真撮影は辛うじて達成というありさま.また,天候は快晴なのだがさすがは深い峡谷とあり,日没のかなり前から光線が入らなくなる.太陽光はもう諦めて,遊歩道を歩く人々を対岸からとらえ,反照を利用した絵画的な描出を敢えて試みるのも悪くはない.

f:id:tnclog:20200624141042j:plain

遊歩道の水鏡

f:id:tnclog:20200624141049j:plain

黄昏に沈むシグモイドの道.展望台からの有名な景色である

およそ6時間の散策を楽しみ,夕刻のバスで公園を去る.運賃が安いせいもあるのか往路に比べると車内環境が劣悪で,結構しんどい2時間であった.バスは途中でカルロヴァツ(Karlovac)という町に立ち寄ったのだが,そこのバスターミナルの殺伐感といったらなかなかのものであったと記憶している.夜はトラムで旧市街に出て,Vinodolなる有名店のテラスで遅い夕食とワインを楽しむ.夜も更けゆく中,街はまだ賑わいを見せていた.

f:id:tnclog:20200624141055j:plain
f:id:tnclog:20200624141105j:plain
繁華街の雑居ビルのようなバスターミナル.最後の夜が更けてゆく

アドリア海沿岸諸国の旅路(3) ピラン(2019.10.22)へ続く

アドリア海沿岸諸国の旅路(2) ドゥブロヴニク(2019.10.20)へ戻る