ヨーロッパ鉄道周遊(10) プラハ(2015.03.06)

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橋塔から眺めるプラハの町並み

2015.03.06

プラハ散策

火薬塔,旧市街広場,カレル橋(Karlův most),プラハ城,ウ・ズラテーホ・ティグラ(U Zlatého Tygra)

 

2015.03.06→03.07

Praha hlavní nádraži 1830 → Köln 614

CNL 456 Phoenix

プラハはヴルタヴァ(Vltava)川(ドイツ名ではモルダウ川)に寄り添う千年の古都で,これまた歴史を紐解くとなかなか複雑である.甚大な戦災は免れたことから各時代の建造物が残っているようで,その道の人が訪れればかなりの見ごたえがあるのだろう.まあ,晴れがましい有名どころを鉄道で回っていく旅行なので,難しいことは考えず,文脈は抜きにして流行りの”photogenic”な光景を追い求めていくとしよう.

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火薬塔と旧市庁舎

駅からのんびり歩いて旧市街へ入る.600年以上の歴史があるカレル橋の橋塔に登り詰めると,赤い屋根が折り重なった町並みが展開する.早朝に比べるとやや薄曇りになったが,異国情緒に溢れていて十分美しい.あくまで私見だが,本旅行で最初に足を踏み入れたイタリアの各都市に比べると,中央ヨーロッパ内陸国の町々はどうも冷たい美しさというのか,どこか影のある美貌というのか,何とも表現しがたいがそういう印象を受ける.イタリアが太平洋とすると,まるで日本海のような.

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プラハ城を望む
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赤い屋根が重畳する街
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カレル橋と,百塔の都

橋を渡ってヴルタヴァ川の対岸へ渡り,一番の見どころのプラハ城見学へ向かう.だんだんと空には雲が増えてきて,少し肌寒い.ちょうど衛兵の交代式の時間なので,見に行くことにした.今となっては観光向けのイベントなのだろうが,それでも毎日やっているとは感心する.さすが皆さん,制服がよく似合っている.

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橋を渡って対岸へ
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精悍な顔つきの衛兵たち

撮影禁止というわけではなかったと思うのだが,城内の写真はそれほど多く見当たらない.豪華絢爛な建築ではなく,全体として質素な表情であり石造りの重厚感が前面に出ていたように思う.チェコの国民的画家,アルフォンス・ミュシャ(Alfons Mucha)のステンドグラスが有名な大聖堂も訪れた.前日のブラチスラヴァとは大違いで,観光客で賑わっていた.

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ヴィート大聖堂に足を踏み入れる
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ミュシャのステンドグラスと,薔薇窓

昼食は城下町の一角で簡単に済ませたと記憶している.今から思えば大変な旅程だが,18時半の夜行列車でチェコを後にすることになっているので,実はあまり時間がない.ミュシャ美術館も外せなさそうだったのだが,この国へ来たからにはビールも外せないということで,地元の有名店,ウ・ズラテーホ・ティグラを有志で訪問した.軽快な飲み口なので自然と杯が重なる.クネドリーキという不思議な白いパンは,どんな料理にでも付け合わせとしてついてくるようだ.

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有名菓子のトゥルドロ,シチューとクネドリーキピルスナー・ウルケル

もっとゆっくり滞在したかったところだが,時間が迫ってきたので宿へ戻って荷物を引き取り,プラハ本駅へ向かう.チェコは他にも見どころがありそうな国なので,いつの日か再訪してみたい.今のところ旧式の客車列車もそれなりに健在のようで,鉄道撮影の観点からも注目されよう(中欧から東欧へ向かうにつれてその傾向は強まるように思う).本駅の地下にあるスーパーで夜食と酒を調達し,アムステルダム(Amsterdam)行の夜行列車に乗り込む.駅構内は照明が少なく,非常に暗い.やはりこの辺りの国々は,20世紀以降に発達した公共交通や建築物に関しては往時の面影を今も色濃く残しており,無機質,無彩色で,どこかほの暗いイメージが常につきまとう.

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寝台特急プラハを発つ

3人部屋の個室寝台を2室手配しておいたのだが,隣同士がつながることが分かったので,かなり狭隘ながらも寝かせたスーツケースをテーブルにして車内飲みに興じる.スーパーで買い込んだ食料は意外にも美味しい.やがて,いつの間にか寝てしまった.日付の変わった頃だったか,深夜にふと目が覚めると,どうやら列車はベルリン中央駅(Berlin Hauptbahnhof)に停車しているらしい.詳細は記憶していないのだが,実はこのCNL 456列車,様々な出発地や行先の列車を途中で併結および解結する多層建て列車で,ちょうどホームで客車の再編成が行われているところであった.ヨーロッパでも夜行列車はその数を大幅に減らしているとはいえ,まだこういう光景が残っているとは驚きである.

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未明のケルン(Köln)に到着

およそ800kmの道のりを走ること約12時間,翌朝未明6時14分にケルンに到着した.

 

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