ヨーロッパ鉄道周遊(9) ブラチスラヴァ(2015.03.05)

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ウィーンから1時間で行けるスロヴァキアの首都ブラチスラヴァ

2015.03.05

Wien Westbahnhof 848 → Wien Hauptbahnhof 909

EC 345 Avala

 

Wien Hauptbahnhof 921 → Bratislava hlavná stanica 1027

REX 2510

 

ブラチスラヴァ(Bratislava)散策

ミハエル門(Michaelertor),旧市街,ブラチスラヴァ城,聖マルティン教会(Katedrála svätého Martina)

 

Bratislava hlavná stanica 1615 (+5) → Praha hlavní nádraži 2023 (+5)

EC 274 Jaroslav Hašek

 

プラハ(Praha)泊

Chopin Hotel

今日は長旅となる.スロヴァキアの首都ブラチスラヴァを経由して,最終目的地のチェコプラハへ向かう.ウィーンとブラチスラヴァは60kmあまりしか離れていない.近郊列車に乗るような感覚で首都同士が結ばれているというのも,なかなか不思議な感じである.列車は中央駅からそこそこ頻繁に出ているので,宿のある西駅からはベオグラード(Beograd / Београд)行の特急列車に一駅だけ乗り,中央駅のホームでの対面乗換となった.スーツケースを抱えての移動なので地下鉄や路面電車は避け,国鉄線のみで完結する旅立ちとしたのだが,自画自賛ながら想定どおりの簡便さで満足した.ものの1時間ほどで到着である.横浜から大宮くらいの感覚だ.

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ブラチスラヴァへ向かう列車.City Shuttleと書かれている

ブラチスラヴァという街,こういう機会でないとまず訪れることはないだろう.駅のコンコースは天井が低く,黄ばんだ蛍光灯が目立ち,日本でいえば地方都市のやや寂れたショッピングセンターのような佇まいである.ウィーンのターミナル駅や,一昨日訪れたブダペスト東駅などとはかなり様子が異なる.下調べしておいた駅のコインロッカーに荷物を預けてから,散策に繰り出した.駅前にはトロリーバスが停車中で,街中には路面電車も走っている.しかしいずれも旧式で,これまたソ連時代の製造かと思わせるような古さである.

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トロリーバス路面電車.いずれもかなり旧式と見える

大統領官邸を横目に少しばかり歩けば,旧市街へと入っていく.かわいらしい規模でコンパクトにまとまった街で,ウィーンやブダペストに比べると観光地としてもマイナーなためか,人通りは少ない.ミハエル門をくぐり,石畳の路地を散策する.町角のところどころに銅像が設置されているのも特徴的で,中には笑いを誘うようなものもある.

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ミハエル門をくぐると旧市街が広がる
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「逆さテーブル」と称されるブラチスラヴァ城.右は旧市庁舎
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銅像たちが出迎える.左は日本大使館

リストが幼少期を過ごしたという家の前で記念撮影を行った後,その場で調べた手軽なレストランに入って昼食をとる.地元民しかいない店であったが,サービスや量ともに申し分なし.ハンガリーと同様,やはり肉を中心とした素朴な料理が多い.昼から飲むビールも格別である.

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スロヴァキア料理

午後は高台にあるブラチスラヴァ城を訪れた.内部をゆっくり回る時間はなかったので,外観を眺めるに留まった.気がつけば,雲がかなり増えてきた.太陽光のスポットライトが当たった瞬間を狙ってシャッターを切る.とくに観光地の街路や建物を撮る際に重要なのだが,ほんの2~3分待つだけで光線の具合が変わったり,人混みの形が変わったりして,まるで違う絵が撮れるということがよくある.

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ブラチスラヴァ城.妖しい光線状態となった

城の前の広場からは,ドナウ川を挟んだ対岸の新市街を望むことができた.旧市街からは一変,無機質で均一な建物が林立しており,やはり如何ともしがたい殺伐感が漂う.ドナウ川に架かる斜張橋の主塔には奇妙な展望台のような施設があり,調べてみるとUFO observation deckというらしい.国会議事堂は大統領官邸の優美な姿とは実に対照的な質素な外観で,往時の社会主義国家の遺物といった様相でもある.

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この辺りは「東側諸国」らしい風景
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教会でひと休み

6時間に満たない滞在ではあったが,マニアックな旅先であった.教会で少し休息した後,駅へ戻った.夕方に発車するプラハ行の特急列車でこの街を去る.

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どうも荒廃した客車が多い.そうこうしているうち,プラハ行の特急が入線

列車の名はヤロスラフ・ハシェク(Jaroslav Hašek)という.チェコの風刺作家らしい.時刻表を見ると,各ユーロシティに列車名がついており,なかなか風雅だ.乗車したのはオープンサロンタイプのチェコ鉄道の客車.牽引する機関車も新鋭の顔つき.主要幹線には新しい車両が積極的に投入されているのだろう.本列車はプラハまでの約350kmの道のりを4時間で走破する.始発のブダペストから乗ると約7時間である.車窓には荒涼とした景色が広がり,厚い雲の向こう側へと太陽が沈んでゆく.なぜか記憶に残っているのだが,途中ブジェツラフ(Břeclav)という駅に停車した.駅名標の" ř "の文字が妙に印象的だったのかもしれない.有名なドヴォルザーク(Dvořák)などにも見られるが,発音は非常に難しくカタカナ表記では到底伝わらない.チェコ人でも苦労する人が多いという.

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黄昏の荒野を疾走.夜は食堂車で軽食

夜は食堂車で軽食をとる.クネドリーキ(Knedlíky)という不思議なパンが付け合わせに添えられた,シチューのようなチェコ料理である.決してまずいわけではないが,華やかで美味しいとか,また何度でも食べたいとかいう味でもなかった.イタリア,オーストリアスロヴェニアチェコと陸続きで旅を続けるにつれ,徐々に料理が変化していくのは面白い.プラハ本駅に着いたのは20時を回った頃.駅近くの宿にチェックインし,部屋飲みの後で眠りに就いた.

 

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